3、人体解剖実習の思い出

“スポーツトレーナー荻山悟史の姿勢が良くなるメールマガジン”で連載した、私がトレーニングを始めた高校生の頃からトレーナーとして働く現在に至るまでの話を転載します。

2015年1月号より

スポーツトレーナーという将来の目標も決まり、専門学校での新生活がスタートしました。

入学して一番驚いたのは、地方から東京に出てきている人の多さです。山形や福島から東京へ来て一人暮らしをしていたり、群馬や栃木から毎日池袋まで来て往復している同級生がたくさんいました。

彼らのモチベーションの高さと比べて自分はなんて中途半端な決意で入学してしまったのだろうか…と早々に思い悩みましたね。

そんな中、最初の夏休みにアメリカ ピッツバーグでの勉強会に参加してみようと思い立ちました。1週間の研修のメインイベントは人体解剖実習です。これまで血を見るのも苦手な私でしたが、メジャーリーグ観戦というおまけにもつられて参加を決意しました。

日本では医学部の学生でないと人体解剖実習をすることができませんが、アメリカではトレーナーなど準医療従事者も人体解剖実習を受けることができます。

研修は白衣を着て、先生からこの方は生前に自分が亡くなったら献体として身体を医学の発展に役立てて欲しいという意思があったという話を聞いて、みんなで手を合わせるところから始まりました。

男性と女性と一体ずつ、その他に膝関節や肩関節など部位ごとにホルマリン漬けになった人体標本を実際に触って構造を確認しながら動かすことで、教科書を見るだけではわからない構造について詳しく知ることができました。

しかしまだ学校に入ってたったの4ヶ月、解剖学の知識などまだ理解していない私にとっては、勉強になったというより自分がトレーナーになることが使命であるかのように感じられたことが後に繋がる大きな経験となりました。[つづく]

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